お客様の素材条件
広がりやすく多毛で、うねりがある髪質をしています。さらに前髪は日常の中でストレートアイロンを使用しているため、チリつきが出て、まとまりにくくなっています。ダメージレベルは中~強。トップに立ち上がりを出し、ハチ周辺を締め、アウトラインで動きを出すメリハリのあるスタイルを目指します。そのため前髪はストレート処理をし、ボリューム感と動きが欲しい部位はポイント的にパーマを複合します。
技術ポイント
ダメージの状況に合わせた薬剤選定と同時に、各種剤の毛髪浸透度合いの見極めがポイントになります。今回はタンパク変性している前髪をウエットアイロンによって対応し、デザイン的に動きと遊びが欲しい部分にパーマをプラスします。ダメージリスクを最小限に抑えた1液タイムで効果と結果を引き出し、ストレートとカールを複合させたデザインをつくります。
技術プロセス
前処理
・タンパク変性が起きている前髪のみ、尿素配合の浸透促進原液を5倍希釈して塗布します。さらに浸透を促すために揉みこむようにします。
・ダメージ部位に働きかける3種類の異なった起源および低・中・高分子量のダメージ修復PPTを配合している3種混合原液を5倍希釈して塗布します。
・ダメージが進行している前髪には特トリを重ね付けし、補修していきます。
・前髪以外にも3種類の異なった起源および低・中・高分子量のダメージ修復PPTを配合している3種混合原液を5倍希釈して塗布します。
・基本的にはそれぞれの処理剤の浸透を促すため、必ず揉みこみをするようにします。
・全体にスチームを噴霧して、各種処理剤の浸透を促します。
ワインディング
水巻きでワインディングしていきます。巻く部位は立ち上がりと動きを求めたい部位のみのアプローチです。
1液塗布
・シャンプー台へ移動してから1液を塗布します。前髪はカーリング料のソニルクリープHを塗布します。
・ロッド部位はカーリング料ソニルクリープHとソニルクリープSを1:1にミックスして塗布します。
・放置タイムは30秒です。
中間水洗&中間処理
・中間水洗後にタオルドライし、前髪部位には3種混合原液1に対して、ベータレイヤーミストを4の割合で希釈して塗布します。毛髪補修効果を高めるため、ヘマチンによるデトックスより先にPPTを補います。
・全体にヘマヘマを10倍希釈して塗布していきます。1液の反応をストップさせるのが目的です。
・パーマ部位はファイベータを塗布し、しなやかさと軽さを求めます。
・その後、前髪のストレート部位とパーマ部位にポリフェラKを10倍希釈して塗布します。毛髪内部の密度を上げ、コルテックスのズレをサポートします。
・最後に同様の部位にpH調整とキューティクル保護も兼ねて、キトキトを10倍希釈して塗布します。
クリープ
・前髪はストレートになるようにクセ付け。ペーパーで挟んでキープします。
・スチームを噴霧してクリープを促進します。
・遠赤外線を当てて8分放置します。その後、テストカールへと進みます。
アイロン操作
・タオルドライし水分を吸収しておき、ウエットアイロンの効率を上げます。
・蒸発する水分の逃げ道を確保しながら、アイロンで水を抜いていきます。
水分を抜きすぎず、柔らかさが残っている状態を目指します。
2液塗布
ブロム酸タイプの2液、ソニルBⅡローションを使用します。5分×5分の2度付けです。
後処理
・水洗後、ヘマヘマを10倍希釈して塗布。たんぱく質の架橋効果を狙います。
・CMCの補給とポリフェノールによる引き締め効果で髪を疎水状態に近づけます。ここで使用するのはベータレイヤー エマルジョンです。
・チェンジリンス後、キトキトを10倍希釈して塗布し、髪を等電点に近づけます。さらにキトサンの力でキューティクルを保護するのが目的です。
仕上げ
・アルカリで流出したCMCを補充し、毛髪内部の水分バランスを整えるため、ガルバエマルジョンを塗布します。
・その後、毛髪表面を整えながら外部刺激から髪を守るアジアンムーンを塗布し、仕上げていきます。